Aさんは、16歳のときに親との喧嘩が絶えず、あるとき家を飛び出しました。お金もなく夜も更け、泊めてくれる相手を求めてSNSに書き込んだところ、複数の成人男性から連絡が。しかし、その夜、一人の成人男性と待ち合わせたのはホテルでした…。それから2年後、そのときにされた性的な行為を録画されていたことをAさんはふと思い出しました。その男性が動画を今でも持っていたらと思うと不安で怖くなり、ライトハウスに相談してきました。
Aさんが18歳未満のときにおきた出来事で、児童福祉法や青少年保護育成条例違反に該当する被害に遭っている可能性がありました。そこで、ライトハウスから警察署に連絡を入れた上でAさんと一緒に警察署に相談に行くことに。Aさんも捜査に協力し、その後男性は検挙されました。
高校生のBさんから、「Twitterで知り合った人に性的な写真を送ってしまいました。それをネタに脅されています。」とLINEで相談がありました。話を聴くと、Twitterで知り合った人とKakao Talk(カカオトーク)で仲良くなり会話を続けていたところ、「エッチな写真」を要求され、自分の下着姿の写真を送ったそうです。その後、制服を脱いで裸になる動画を送れと言われ、断ると、下着姿の写真をネットに晒すと脅されました。数時間返信をしないと、「自分の立場、わかってる?」「動画送らないとこの画像を晒す」等のメッセージが次から次に送られて来て、怖くて学校も休んでしまったそうです。相手を怒らせてしまい、写真を晒されるのが怖いけれど、どうしていいかわからないという相談内容でした。
中高生の自撮り被害相談は年々増加しています。送った画像の詳細を聞くと、児童ポルノに該当したため、警察への相談を提案しました。親御さんの協力も必要でしたがBさんが打ち明けることに抵抗があったため、被害経緯についてはライトハウスから親御さんに伝え、解決のために、Bさんに寄り添い一緒に考えるようお願いしました。
Cさんは専門学校で学ぶため、東京で1人暮らしを始めました。ある日、都内の主要駅を歩いていたところ、スカウトマンらしい男性が声をかけてきました。無視して通り過ぎましたが、男性はしつこくつきまとってきました。小走りで近くのファーストフード店に入りましたが、店の中までついてきました。そして、なれなれしく話かけてきました。
芸能プロダクション名やタレント名をあげて「モデルに興味ある?」「キミならいい仕事がたくさんある」「仕事は選べるから」など、一方的に勧めてきたそうです。最後に男性は「とりあえず事務所に来てみてよ」と誘いました。Cさんがとまどって言葉を失っていると、男性は事務所に「これから女の子を連れて行くから」と電話をしました。「断るなら行ってみてからにしてよ」と立ち上がり、ついて来るように促したそうです。「芸能プロの事務所なんて滅多に入れないから」「すぐそこだし」と言われ、振り切って逃げられる雰囲気ではなかったので、事務所を見るだけ見て帰ろうとCさんは考えました。ところがその後、事務所の人からモデルやグラビアの仕事を執拗に勧められ、プロのカメラマンに1度写真を撮ってもらおうという話になり、強引に撮影日を決められることに。自分がうんと言わないとこの時間が延々に続くような気がして、承諾しました。
数日後の写真撮影の日、はっきり断って終わりにしようと決め、指定の場所に出かけたCさん。到着するとすぐに用意された服に着替えるよう言われ、慌ただしく撮影が始まりました。徐々に肌の露出が多くなり不安を感じましたが、複数の大人を前に嫌と言えない威圧感を感じ、最終的にはトップレスの写真を撮られました。撮影が終わると「キミなら売れる」とAV出演を持ちかけられ、できないと何度も断りましたが、「難しいことはない」「サポートする」「予定は合わせる」等、なぜかやる方向で話が進み、契約書を出されました。大勢に囲まれ、この場から逃れたい一心で契約書にサインをしました。後日、撮影日が決まったと連絡があり、キャンセルには違約金がかかるとの話をされました。当日は、事務所の人が自宅前まで車で迎えに来て、撮影現場では、複数の男性相手に性行為をさせられ、そのトラウマから毎日悪夢を見るようになりました。
その後しばらくして、AV出演強要被害のニュースを見たCさんはライトハウスに自ら連絡を取りました。面談の際にCさんは、断れなかった自分、サインをした自分を責める発言を何度も繰り返していました。相談員は、Cさんは悪くない、たくさんの人が同様の被害にあっている、と繰り返し伝えました。その上で、Cさんの身に起きた事実を丁寧に聞きとり、Cさんが今後どうしたいかを確認。その結果、法律事務所を紹介し、弁護士を介して出演契約の取消と動画の販売停止の交渉を行いました。販売は停止となり、Cさんは徐々に心身ともに安定してきましたが、拡散された画像が今もネットに残っているため、知人の目に触れたらという不安もあり、継続的に精神科に通院しています。
もっとはやくライトハウスさんや、どこか信用できる人のところを頼ればよかったけれど、誰も信用できなかったので、動くことができませんでした。
売る前に止めてくれるシステムや、拡散される前に止めてくれるシステムなどがあったらよかったのに、と思います。
AVプロダクションの事務所の近くを見回りしてほしいです。
不安そうな表情の人がいたら、その人が1人になった時を見計らって、声をかけてみてほしいです。
もし、私が初めて事務所に行った帰り道に、困ってないかと、話しかけてもらっていたら、立ち止まることもできたのかもしれません。
いまでも、悪夢がひどくて涙が止まらないことがあります。
私が元気がないと、家族も悲しむので、罪悪感を感じてしまいます。
どこかに逃げたいような気持ちですが、向かう先もわかりません。
どうすれば心が晴れるのかすごく難しくて、心が痛いです。
ライトハウスのみなさんにお話を聴いていただいて、具体的に少しずつ何かに取り組んできて、
前は泣き喚いている私しかいませんでしたが、
今は、苦しくて泣いている私と、なんとかしようとしている私、という、両方の私がいます。
なんとかしようとしている私は、過去の事を少しずつ、感情的にではなく、
出来事として思い出したり、話したりできるようになってきた気がしています。
私と同じような苦しみを背負わされる被害者を一人でも減らしたいです。
過去の被害者の声を、受け止めていただき、被害の防止と被害者救済について取り組んでほしいです。
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