2016/11/14 日本経済新聞 「奪われた尊厳(上) 意に沿わずAV 心に傷」

2016年11月14日(月)日本経済新聞夕刊に、記事「奪われた尊厳(上) 意に沿わずAV 心に傷」が掲載され、ライトハウス代表藤原のコメントが紹介されました。是非ご一読ください。

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夢につけ込まれ出演
奪われた尊厳(上) 意に沿わずAV 心に傷
2016年11月14日

東京都内の20代女性は今も心が苦しくなることがある。「撮影から逃れようと自殺も考えた」3年余の日々が、脳裏から消えることはない。

アルバイトをしながら歌手を目指していた2009年、渋谷でスカウトに声をかけられた。紹介された芸能関連会社の男性社長の言葉は魅力的だった。「歌手として世界進出させる」。続いて「まず男性向けのイメージDVDを撮ろう」――。グラビア撮影と聞かされて出向いた現場で、初めてアダルトビデオ(AV)と明かされた。

「できません」。拒否の言葉は通じなかった。社長ら数人に囲まれた。「宣伝で1億円かかった。違約金は家族に請求する」「夢をかなえるには必要だ」。”説得”は4時間以上続き、最後は「自分さえ我慢すれば……」と折れた。

それから10本以上に出演した。親からは「あなたを産んだのは人生の汚点だ」と絶縁され、友人とも疎遠になった。鬱病やパニック障害と診断され、最後は医師の忠告もあり引退が認められた。

女性は今、社長らの処罰を求めて警察に相談をしている。「夢につけ込む形で搾取された」。社長は取材に「コメントできない」と話した。

嘘や強引な契約でAVへの出演を強要されたと訴える若い女性が相次いでいる。警察庁によると、全国の警察への相談は14年以降で計20件に上る。NPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」(東京)には今年だけで90件の相談が寄せられた。
 
 ライトハウスの藤原志帆子代表は「泣き寝入りする女性が多かったが、国会やメディアで社会問題として取り上げられ、声を上げやすくなってきた」とみる。国も「AV出演強要はこれまで取り上げられてこなかったが、女性の権利を守る動きが強まる中、実態把握が必要だ」(内閣府)として、民間支援団体と連携して調査を進める方針だ。

警視庁は6月、女性モデルをAV撮影に派遣したとして、芸能プロダクション元社長らを労働者派遣法違反容疑で逮捕。元社長らは罰金刑を受けた。意思に反して出演させられた女性が、契約や撮影の状況を詳細に証言したことが摘発につながった。捜査関係者は「出演者らがもっと実態を打ち明けられるようになれば、強要を生まない環境づくりにつなげられる」と期待を寄せる。

AV業界内でもトラブル防止のために契約書の様式を統一したり、出演者が自身の権利を守るために団体をつくったりする動きが進んでいる。ただ業界団体に加わらない”個人経営”に近い制作者も多い。実効性は不透明だ。

性暴力の問題に取り組むNPO法人「しあわせなみだ」(東京)の中野宏美代表は「AVの関係会社は、法令順守に基づいたガイドラインを作成し、出演者と契約すべきだ。トラブル防止のため、行政はガイドラインが守られているかチェックする仕組みも必要だ」と話す。

女性や子供が意に沿わない形でAVに出演したり、わいせつな画像を撮られたりする被害が相次ぎ、社会問題になっている。被害の実態や根絶への動きを追った。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO09495640U6A111C1CC0000/

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