2016/11/1 朝日新聞『サバイバー』著者インタビュー記事

2016年11月1日(火)朝日新聞夕刊に、人身取引被害の女性の手記『サバイバー』に関する記事が掲載され、ライトハウス代表藤原のコメントが紹介されました。是非、記事ならびに著書『サバイバー』をご一読ください。

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ダンサーになるため来日したのに… 路上から「生還」 人身取引被害の女性が手記
2016年11月1日 朝日新聞

最初に覚えた日本語は「ニマンエン(2万円)」。あとで知ったが、それは自分の体の値段だった――。コロンビアから来日し、性産業に従事させられていた女性が、体験をつづった本「サバイバー 池袋の路上から生還した人身取引被害者」(発行・ころから)を出版した。著者のマルセーラ・ロアイサさん(38)が現在暮らす米国で取材に応じた。

ロアイサさんは来日前、2歳の娘を抱えるシングルマザーだった。スーパーで働きながら、母親や弟妹らを支える生活。金を稼ぎたいと日本行きを望んだ。ダンサーをすると言われ、手引きする男から偽の旅券や航空券などを渡されて1999年5月に来日した。21歳だった。

空港で待っていたのは30代半ばのコロンビア女性。そのまま車に乗り、連れて行かれたのは管理売春の世界だった。旅券を取り上げられ、来日手数料として500万円の借金があると脅された。「働く許可を得るためにヤクザに金を払え」、振る舞いが悪ければ「ヤクザに売り飛ばす」と言われた。

「ケリー」という名で東京・池袋の路上に立った。意味も分からず、教えられた「ニマンエン」「オッパイ、オオキイ」という言葉を男に投げかけた。

全身に入れ墨が入ったヤクザの客から暴力を受け、2週間の入院を余儀なくされたこともある。千葉・木更津のファッションヘルスやストリップ劇場のほか、横浜でも街娼(がいしょう)として働かされた。2001年、さらに借金を負わされそうになり、コロンビア大使館に逃げ込んだ。

故郷に戻ったロアイサさんは日本での体験をだれにも言えず、泣いてばかりいた。3年間、心理治療に通った。治療の中で「フラッシュバックがあったら何でもいいからメモするように」と言われ、体験を書き留めた。心理士に勧められ、それらをまとめてコロンビアで出版したのは09年。その日本語の翻訳版を今年8月に出した。

米国人男性と知り合って結婚し、いまは飲食店で働きながら会社員の夫と娘と米国で暮らす。米国とコロンビアで財団を発足させ、人身取引の被害者を支援する活動もしている。

「娘のことを考えることで、生きることができた」とロアイサさんは振り返る。「いまは日本での経験には意味があったと考えている。ほかの被害者も抜け出せると伝えたい」。つい最近まで日本人男性に会うと、怖くて涙が出た。「でも、いつかは、自分が立っていた池袋や新宿の街を夫と歩き、日本は美しい国だと感じたい」

NPO法人 人身取引被害者サポートセンター「ライトハウス」代表の藤原志帆子さんは「南米の女性たちは本当に劣悪な状況で働かされていた。ひとりの女性がこれだけ赤裸々に声をあげたことはこれまでになく、勇気に感謝する。被害者の国籍が違っても、いまも同じようなことが起きている」と話す。

四六判224ページ。税抜き1800円。(編集委員・大久保真紀)

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12637729.html?rm=150

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